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2013/07/07

27. マーサ、あるいはマーシーメイ / Martha Marcy May Marlene (2011)

(3月に観ました)
久々に会った友人と映画館で観てきました。本当はカレ・ブランを観る予定だったのですが、4月から公開ということで、急遽変更でこちらの映画に。

「π」は「ブラック・スワン」の監督によるものでしたが、この映画「マーサ、あるいはマーシーメイ」は「ブラック・スワンのスタジオによるサスペンス」というのが宣伝文句です。つまり、この映画もフォックス・サーチライト配給の低予算系。2011年の作品なので、ブラック・スワンの翌年の作品ですね。


[あらすじ]
心の傷を抱え、カルト集団のコミューンでの生活を選んだマーサ。音信不通だった彼女が、突然姉の元へ逃げ帰ってくる。彼女は姉夫妻の家で居候することとなるが、コミューンにいたころの記憶≪マーシーメイとしての自分≫が彼女を幻覚と恐怖で蝕んでいく……。



実際にあったことを元にしているということです(恐ろしいですね……)。異様な共同生活や儀式など、描写がキツいところもあります。女性の性を描く点はブラック・スワンっぽいですね。回想(マーシーメイとしての記憶)と現実(姉の家)が次々と交代して描かれることで、観客はマーサと同じようなフラッシュバックを経験できると共に、少しずつコミューンの恐怖体制やマーサの心の傷が回想によって明らかになるという構造になっています。


あり得ないことではあるが、昔の記憶による妄想と現実の区別がつかなくなってしまう。どうしようもなさと、漠然とした不安や恐怖を誰とも共有できないことのつらさをマーサは視線で表現します。マーサの存在によって姉夫妻の仲も亀裂が入りそうになるなど、更生環境の難しさがありありと感じられます。フライヤーで使われていた写真のシーンは印象的でした。焦点が隣の部屋にいるマーサに合い、じっとベッドの上から見つめる彼女の視線。強く脳裏に残ります。


カルトの描写は、以前の記事でも言及した「六日目の蝉」と似ているところもありますが、「マーサ~」は男性リーダーによる性的虐待を含んでいるのでさらに精神を蝕みますね。被害者であったはずのマーサが加害者へと転じていく様子など、現実味がありました。


全体的に静的で、じっと彼女の心理をみつめていく物語です。こういう映画を観るたびに、映像は言葉がなくとも、何かを訴えかけることができると信じられます。

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