[雑なあらすじ]
ダニー・ボイルの最新作。
記憶喪失になったオークションの競売人がある記憶を取り戻そうとする…
[感想]
スタイリッシュな映像表現が魅力。強いボケの表現で観客の視線の流れを支配し、それにより物語を追っていく高揚感が与えられる。クライマックスに近づくにつれ、非道い行動ばかりが増えていくが、鑑賞後に妙な爽快感があるのが恐ろしい。
幻想と現実が交差するのは最近ではよくある設定だが、既視感ばかり感じるというわけでもなく、すんなりと突拍子もない物語の流れに乗れる。VFXが使われた、おそらく現実ではありえない(=「明らかに」今観ているのが幻想だと観客に認識させる)場面があるが、そのグロテスクさを出す必要があったのかはよくわからない。私はCGをかじっている人間なのでVFXに対する嫌悪などはまるでないが、この場合幻想よりも更に異常なものとしてVFXが悪目立ちしているように感じてしまった。最後の主人公の顔も、異常に脳裏に残る。
…「明らかに」。
鑑賞後、この映画のオチについてあれこれ書かれたものを見てしまったが、自分はこのシナリオ構成よりも最後の妙に小洒落た爽快感が気になり続けている。今回、キャッチコピーと「ダニー・ボイル作品、ジェームズ・マカヴォイ出てる」くらいの知識しか持たず観に行った。誘ってくれた友人の映画選択の趣向が自分と合っていると分かっていたこともあるが、色々調べて映画館に向かうより結果として良かった気がする。変に構えるとすべて可笑しく思えてしまうような危うさのある映画。
自分の単純さに飽々するが、爽快感の一因は以下の公式サイトでも流れている音楽のせいなのだろうか、とこの記事の執筆中にふと気がついた。あ、あとヴァンサン・カッセルが不思議とかわいい。きっとそれだ。
http://www.foxmovies.jp/trance/site/index.html