映画ブログのはずがゲームブログになりつつある。そんなブログ。

2013/02/14

17. ○ックスと嘘とビデオテープ / *ex, Lies, and Videotape (1989)

伏字すみません(googleの規約にひっかかってしまうんです)。
言わずと知れたソダーバーグの出世作でパルム・ドール受賞作ですね。
以前観たいと書いた「レッドダスト」が在庫なしだったので衝動的に借りてきました(2/1)。


物語では、題名の3つの要素が重要な役割を担っています。
それぞれが絡みあい、原因をどれか一つには還元することの出来ないような大きな不穏を生んでいきます。


この映画は、脚本の勝利ですね。
これが小説原作じゃなくて映画で作られたということが単純に嬉しいです。
映画だからこそ、インタビュービデオを視覚的に再現できますし。ビデオの映像も良かったです。映像で「真実」を突き付けられる衝撃というものは、何ものにも代え難いものですね。ソダーバーグは自身が映像に携わることで、その破壊力を良く知っていたのかもしれません。

現代では、日常にあふれる画面から沢山の「ショッキング」な映像を摂取しているかもしれませんが、それは多くの場合我々にとって「他人」が映った映像にすぎません。
しかし、ここでの映像は自分の妻(配偶者)が被写体となります。
配偶者が他人の映像に映るということだけでも、その姿を映像として所有されると考えれば、急激に意味深な示唆が含まれていくように思えます。

欲を言えば、最後にもうひとひねりあっても面白かったかもしれないです。エリザベス関連とか。
(最近課題の締め切りが多く、この作品は一回しか見られなかったので、ちょっと細部には自信がありません…グレアムの居候は妻を家に縛るために呼んだと考えていいのでしょうか…?)


また、姉の夫と関係を持つ妹が魅力的でした。声が低くて良い。
整った美人というわけではないのですが、さかさまに映ったクローズアップが美しかったです。

妻(姉)役のアンディ・マクドウェルってこういう真面目系神経質が似合いますね。
真面目だからこそ、自由系男性(グレアム)に惹かれるというのは筋が通っていると思います。
同じくマクドウェルがヒロインである、「グリーン・カード」でもそんな組み合わせだったような…とか思ったり(でもこっちは女性がしっかり者でしたが)。

妻(マクドウェル)のグレアムに対する関心の出し方は絶妙で、何でもない会話の場面が独特の緊張感に包まれているように感じました。男好きな妹を軽蔑しているのに、自分の悩みの一つは夫との不仲で、グレアムに惹かれていて仕方ないっていうのは、なんとも皮肉ですね。


特に人殺しなどのサスペンスがあるわけではないのに、
不可思議な男の滞在・撮影・ビデオ再生・浮気……などの日常に潜むスリルの連鎖が、観ている者を視的興奮へといざないます。

結局私は何故映像を見るのか…そう考えると恐ろしくなりますね。

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