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2013/03/25

21. ライフ・オブ・パイ / Life of Pi (2012)

知識不足ながらVFX protestに関心があったので、そのVFXを大画面で確認したいと思い公開期間ギリギリの日に観てきました(3/15)。
宣伝ではトラが主役級の扱いでしたが、実際は題名通りパイの人生がテーマで、彼が自身の少年期からトラとの漂流までを振り返る物語です。


protestの話をしたので、まずVFXについてから始めます。
水面下にカメラが移った時の魚は正直微妙に感じてしまったのですが、海上の魚、トラを含む動物や水の表現は驚くべき映像だったと思います。クレジットを見たところ他のスタジオも参加しているようですが、主力は残念ながら倒産してしまったリズム&ヒューズ スタジオ(Rhythm and Hues studios)です。本当に見事にリチャード・パーカー(トラ)を作り上げ、生命を吹き込んでいました。調べてみたところ、ナルニアのアスランもR&Hが作っていたのですね。
参考:
Bringing "Life of Pi" to the Screen: Ang Lee and Rhythm & Hues Studios Collaborate in the Creation of Art(英語)
Animating the Characters in "Life Of Pi" - Quotes from Rhythm & Hues' Animation Director Erik Jan DeBoer(英語)

*VFX protestについてはアメリカでCG屋をやってみるというブログが分かりやすいです(ほかの記事も面白いですし非常に参考になります!)。


この映画での私のお気に入りはオープニング・シークエンスです。動物の動きに合わせてアルファベット(クレジットの名前の一部)が動くのがかわいらしかったです。リラックスした動物の姿が映され、つなぎ方や字体も洗練されていました。
それとマイケル・ダナ(Mychael Danna)の音楽。やはり、映像は音楽に支えられているなあと思いました。曲を聴くだけで場面が浮かんできそうです。違う映画ですが、私は彼の「ニュースの天才」のTNRという曲が何故だかとっても好きなので良かったら聞いてみてください。映画も良作です。


彩度が高いような映像や、ブラーを切り替えに使うのが多かったです。そういえば幻想的な夜の海のシーンで、1ショットだけ画面サイズが正方形のようになったのを覚えていますが見間違いではないですよね…?動物との隔たりを感じさせる柵が印象的な前半と、漂流してからの緊迫感とのコントラストが良かったです。
また、思ったよりファンタジー色もありました。謎の島やクジラの登場の仕方・漫画のような逆三角形体系のママジの描写など。


結構宗教色も強いです。漂流するまでの少年時代は特に。
ヒンドゥーを通してキリスト教と出会い、イスラム教にも親しむというパイの信仰は、漂流してからの彼の行動にも影響しますし、他にも知性や機転、忍耐といった彼の特徴が前半で示される分、後半の果敢な行動を説得的なものへと向上させていました。結局、どんな危険も頭が良い主人公だから切りぬけられるんですよね…語り手として登場する大人になったパイも大学教授だし一貫して知的という設定です。


パイの家族がカナダへと向かう船のコックとして、ジェラール・ドパルデューが出ていて驚きました。少ししか出てこなかったのですが、最後にも間接的に言及される役でした。彼の存在感ならきっと後からでも容易に思い出すことができるでしょう。


最後の最後で今までの物語の真偽が揺さぶられるところがありますが、私はその答えは映画内で示されているように思えました。全体として、漂流生活における非日常との出会いを描きつつ、精神的な面に重きが置かれている映画でした。


まだ更新できていない映画感想のひとつに、π(パイ)があります。全く違う映画ですが、それもなかなかでした!また今度書きたいと思います!

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