最近CGアニメーションを作っていたので、映画全然観られてませんでした…この文章は鑑賞後に大まかに書いておいたものをまとめ直したものです。)
大学のゼミでラース・フォン・トリアーの話になった(というより私がドッグヴィルはトラウマという話をした)ので、
有名どころを借りてきました。
何故だか最近カンヌで賞取ったやつが続いてますが偶然です(18の記事)。
…にしても(ちょっと脱線)、
賞ってどうなんですかね…
多くの人に「良い」映画を紹介するきっかけになったり、制作者を労うことはできると思うのですが、
どうも最近は負の部分に目が行きます…賞で儲けようというか…予想レースで煽るというか…
でもそれだけ人々の話題になるということは、映画業界全体にとって利益があるかもしれませんが。
…2月は賞の話題が多いので色々考えてしまいました。
それでは本題に戻ります。
話は、若干先が読めるところもありつつも、十分に心苦しくなる内容で、
不条理でありつつも、基本的には辻褄を合わせて原因→結果になっています。
ただひとつ裁判で夫の貯金はあるといっている点だけ気になりました。
ビルとジェフの立ち位置なども。
主演はビョーク。彼女の歌を聴いたのはおそらく初めてです。
約十年前にこの映画のスチールを見たときから、私は彼女のことを少女だと勘違いしていたので、息子のいる母親の役だと知ってまず驚きでした。
(母と娘の話で主役が娘だという勘違いです……)
彼女の歌によるミュージカルが入っていることで、セルマ(ビョーク)の妄想世界が良く表現されていると思うし、観ている私もさらに感情的になってしまいました。
多くの場合、ミュージカル映画では歌うこと自体に特に意味がないですが、
それに比べて、この映画ではセルマがミュージカルを生き甲斐としているという設定があるので、突然彼女の妄想によるミュージカルが始まっても演出として無理がないような気がしました。
そういえば、前に書いた「善き人」でも面白い「劇」的な歌の挿入がありましたね。あれは幻覚の表現でした。
今回ふと思ったのですが、
彼の書く脚本には独特の女性像があるように感じます。
物語の中心となる女性は、精神的に強いのですが、一方で非常に愚直です。
犠牲の精神を高尚なものとして描いているとは思うのですが、
「もう少し上手く振る舞えばそんなに傷つかなくても済んだのでは…?」という疑問がどうしても私の頭には過ぎってしまいます。
…あまり彼の作品を観ているわけではないので、なんとなく、ですが。
この映画を観ていた時のことを思い出すと、
普通のTV画面で見ていても、この映像に全身が反応して、手に汗がにじんできて、身体がほてってくる感じでした。
見ているだけで、何かにとりつかれそうな感覚を感じるのです。
(…そういえば、前学期の授業で「映像にとりつかれる」ことについて話していた教授がいました。あの授業は、非常に哲学的で、色々な刺激を受けたなあと思い出してみたり。)
いつも一度DVDを借りたら、何回か観てから返却するように心がけている…という話は前書いたと思いますが、
この映画は、もう少し時間を置いてからじゃないとつらくて見られません。
一週間で自分の気持ちを切り替えるのは無理でした。
私にとってこれは確実に「好き」な映画ですが、何回も観ることはできないかもしれません。
しかし、記憶に鮮明に残る映画であり、素晴らしい映画であることは確かです。
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