映画ブログのはずがゲームブログになりつつある。そんなブログ。

2013/03/29

24. めまい / Vertigo (1958)

いわずと知れた名作…とは知っていたものの、やはり観るべき作品ですね(3/18ごろに観ました)。

今回私が観たDVDは、90年代にフィルムが復元され、綺麗な映像になったものです(現在はこれが普及版だと思います)。そのため、特典映像はフィルム復元作業のミニ・ドキュメンタリーみたいなものがついていました。ちなみに公開時はパラマウントが配給でしたが、復元はユニバーサルが行っています。



高所恐怖症になった男が、友人に頼まれて彼の妻の尾行をすることになるが、だんだん彼女に恋していく…というあらすじです。こうまとめてしまうと良くありそうな話になってしまいますね。しかし、この尾行には「友人の言う通り、彼の妻が亡霊にとりつかれているのか、否か」という問題が絡んでいます(オカルト風)。あらかじめ「これはホラーやファンタジー映画だ」というように、ジャンルが分かっていると、こちらとしても霊の存在を前提として観てしまいますが、この映画の場合、オカルトなのか現実設定なのかが曖昧な状態で始まるので観ながら色々推理できる余地があります。

そして中盤からは急展開(一応内容はふせます)で、一級のラブストーリーとしても鑑賞できます。(……同じ服を着せるなんて男のエゴなのかと最初は思いましたが、最後には元刑事はさすがだと反省しました。)高所恐怖症という設定の落とし前もしっかりと。古い映画だとどうしても展開が遅く思えるものもありますが、これは2時間超があっという間でした。


友人の妻であり主人公にとってのファム・ファタール(言いすぎかな?)であるマデリンは、キム・ノヴァクが演じています。ヒッチコックがこだわったという、彼女の纏う衣装は注目です(グレーのスーツが素敵)。また、女性ってメイクでかなり印象が変わる…というのが、この映画での私の学びと反省です。

通称めまいショット(Vertigo effect)ともいわれるドリーズーム(ズームしながらカメラを前後に動かす方法らしい)がやはり印象的でしたね。


追跡する時など車内の場面が多いのですが、後窓から映る車外の風景は合成なのでしょうか?初めに違和感を感じたのですが、見ているうちに慣れてしまって自信がなくなってしまいました。

また、空間デザインがとても気に入りました(ミッジの部屋、ミンスターの部屋が特に)。メイキング曰く、できる限りロケではなくセットを作ったとのことでした(教会の塔も!)。絵画や古教会のゴシック小説のような不気味さも良かったです(…しばらく西洋絵画の肖像画を見たくないと思ってしまった…視線が怖い…)。

マデリンと主人公は様々な場所に行くのですが、どれも印象的で過不足ないように思えます。ゴールデンゲートブリッジも良いけれど、私は森のシーンが好きです。木の断面から見える年輪を見ることで、史実とマデリンの空想の時代が重なり、彼女の言う時代が想像しやすくなり、発言のリアリティが増したように感じました。

最後に。さりげなくミッジ(主人公の元婚約者)が物語をより魅力的にしていますね。主人公の支えとしても、三角関係の構図としても。物語に関わる中心人物が少ない分、「その他」の役割を彼女がかなり負っているように思えました。

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